❶ 藤倉大/THREE(日本初演)
Fujikura Dai: THREE (Japan Premiere)
演奏:アンサンブル・スリー[ジョエル・ブレナン(トランペット)、ドン・インメル(トロンボーン)、ケン・マレー(ギター)]
Ensemble THREE [Joel Brennan (Trumpet), Don Immel (Trombone), Ken Murray (Guitar)]
オーストラリアのグループ『アンサンブル・スリー』から委嘱されたこの作品は、おそらく僕がこれまで作曲した中で最も幸せな作品だと思います。僕は6歳の時に家族でオーストラリアに滞在したことがあります。クリスマスにビーチで過ごしたこと、青い海、砂浜。鮮明に覚えています。この作品は、6歳の頃の自分のオーストラリアでの幸せな時間基づいています。3年前にメルボルンでこの作品の初演と録音に立ち会った際に「ボンクリ・フェスに是非出てよ!」と言ったものの、それからパンデミックで2020年、2021年と来日できず。今年やっと来られることになりました。
❷ 久石譲/揺れ動く不安と夢の球体
Hisaishi Joe: Shaking Anxiety and Dreamy Globe
演奏:アンサンブル・ノマド[佐藤紀雄(ギター)、山下俊輔(ギター)]
Sato Norio (Guitar),Yamashita Shunsuke (Guitar)
久石譲さんの音楽は、もちろん日本中、いや、世界でも知っている人は多いでしょう。僕は小学生の時から「ZOIDS BATTLE MUSIC ゾイドバトルミュージック」が好きで、カセット版をよく聞いていました。そんな中、アンサンブル・ノマドの佐藤紀雄さんが久石さんの現代音楽と言っても良いのかもしれない、この作品を演奏しているのを知りました。その演奏をネットでたまたま僕が見て、紀雄さんに、この曲、スペシャル・コンサートでできませんかね?と相談させていただきました。
❸ 八木美知依&藤倉大/アルバム「微美」より(世界初演)
Yagi Michiyo&Fujikura Dai: From the album"Bibi" (World Premiere)
演奏:八木美知依(箏)、藤倉大(シンセサイザー)
Yagi Michiyo (Koto), Fujikura Dai (Synthesizer)
2020年、パンデミックが始まって家でロックダウン。暇なので、新しいモジュラー・シンセサイザーのソフトを買って、誰か一緒に遊んでくれる人がいないかな、と八木さんに「目的なしに一緒に音楽作りませんか?全部即興で!」と聞くと、即「ぜひやりましょう!」ということに。ほぼ毎日、八木さんから演奏の録音が届き、それを聴いて、僕はシンセサイザーで音を創ったり、即興したり。時には逆にシンセでこんな音が出たのでと送ると、その上に八木さんの即興演奏が乗って送られてきたりして、アルバムの長さに。その中から何曲かを合わせて弾きましょうと、いまどの曲をするかを相談中です。
❹ アン・レイレフア・ランツィロッティ/ビヨンド・ザ・アクシデント・オブ・タイム(日本初演)
Anne Leilehua Lanzilotti: Beyond the accident of time (Japan Premiere)
演奏:アンサンブル・ノマド
Ensemble NOMAD
この作品は、彫刻家イサム・ノグチがついに完成させることのできなかった1950年の作品「広島の鐘楼」(1986年に部分的に再建された)を称えるものです。ノグチはこの作品「広島の鐘楼」のために鐘が世界中から集められることを構想しました。私の作品では、この彫刻が物理的な彫刻作品というよりは、世界中の鐘によって再現できる音の世界ととらえました。耳を澄まし、深く考える空間を作ることで、私たちはこの彫刻が何を表しているかを思い出すことができるでしょう。深く考え、反省することを促すこの空間に耳を澄まし、再現することで、私たちはこの彫刻が象徴しているものに対し敬意を払い、記憶に留めます。
そして、この楽譜は、その出発点にすぎません。(アン・レイレフア・ランツィロッティ)
❺ 「ビヨンド・ザ・アクシデント・オブ・タイム」Punkt Live Remix
Punkt Live remix of “beyond the accident of time” by Jan Bang, Erik Honoré, Eivind Aarset
演奏:ヤン・バング(エレクトロニクス)、エリック・オノレ(エレクトロニクス)、アイヴィン・オールセット(ギター)
Jan Bang (Electronics), Erik Honoré (Electronics), Eivind Aarset (Guitar)
パンデミックが始まってから、毎回(2020年、21年)ぎりぎりまでなんとか日本に行けないか、と話し合いを続け、今年はやっとそれが可能に。”Live Remix”とは、この直前に演奏されたランツィロッティの作品をその場でサンプリングし、Punktのアーティストがその場でリミックスするもの。僕の周りでも毎回ボンクリで一番好き、という人たちもいます。
❻ 大友良英/新作(世界初演)
Otomo Yoshihide: New Work (World Premiere)
演奏:アンサンブル・ノマド
Ensemble NOMAD
大友良英さんが毎年新曲をボンクリで発表してくださるのはとてもラッキーなことだと思っています。今年は、キッズはお休みして、アンサンブル・ノマド(大人)のために曲を書いてくださることに。何が起こるかわからない一期一会のステージに皆様、ご期待ください!
❼ 藤倉大/ヴィオラ協奏曲「ウェイファインダー」(世界初演)
Fujikura Dai: Wayfinder-Viola Concerto〈Ensemble Version〉(World Premiere)
演奏:アン・レイレフア・ランツィロッティ(ヴィオラ)、アンサンブル・ノマド
Anne Leilehua Lanzilotti (Viola), Ensemble NOMAD
本来、2020年にボンクリで世界初演する予定でしたが、今年やっと世界初演できることになりました。この曲のタイトルになっている、「Wayfinder(ウェイファインダー)」とは、アンさんのルーツでもあるポリネシアの伝統的な航海術のことを指します。ウェイファインディング/スターナビゲーション(天体観測、海流や波浪の観測、生物相の観察、風向の観測などから自らの現在位置と方向を推測する航法技術) のアイデアに触発され、作曲しました。