1. 北爪道夫(中川統雄編)/サイド・バイ・サイド
Michio Kitazume(arr. Norio Nakagawa): Side by Side
この作品の原曲は打楽器のソロ曲ですが、アフリカン・ドラムを思わせるダイナミックかつ疾走感あふれるこの魅力的な曲をアンサンブルでも楽しみたいと中川統雄さんにお願いして今日のバージョンを作って頂きました。なんと‼原曲のリズムはそっくりマリンバの超絶的なパートに生まれ変わり、他のパートはそれぞれ異なる複雑なリズムパターンでマリンバ・パートに正確に合いの手を当てていくという高難度なゲームに生まれ変わりました。
2. カローラ・バウクホルト/ねじの詩
Carola Bauckholt: Schraubdichtung for Voice, Bass Clarinet, Cello and Percussion
ちょっと大ぶりなネジで木片や、ボール紙、管、ビニール、発泡スチロールなどを叩いたり、こすったりなどする時に発する色んな物音を生の楽器と声で再現して見せた興味深い音楽です。古来より作曲家は自然の音や物音を楽器や声で模倣し、音楽に乗せて楽しんで来ましたが、ドイツの作曲家カローラは一本のネジから不思議な詩を音で描きました。
3. アレハンドロ・ビニャオ/リズムの手帳 第三楽章
Alejandro Viñao: Cuaderno del Ritmo III. d’aprés Khan Variations
アフリカ起源のマリンバは南米に渡り目覚ましい進化を遂げ、独特な民俗音楽を生みました。ですから、南米生まれのビニャオがマリンバを偏愛するのは自然な事です。今日演奏する第三楽章は“カーン・バリエーション”という副題がついています。カーンはパキスタンの国民的歌手の名前です。冒頭にマリンバで演奏される神秘的なテーマはカーンの歌う旋律から取られたものです。テーマは様々な形に変化し、リズムの変奏の技が繰り広げられてゆきます。
4. フレデリック・ジェフスキー/カミング・トゥギャザー
Frederic Rzewski : Coming Together
作曲家であると同時にピアニストでもあるジェフスキーは音楽を社会問題と結びつけて活動を行ってきました。この作品では、ニューヨークの刑務所に収監された政治犯S.Jメルヴィルが友人に送った手紙の一部が読まれます。彼はそのあと警官に撃たれて死亡。執拗に繰り返される音型と言葉は小さなフレーズを簡単な級数法則によって重ねられていますが、客観的な方法を取る事により感傷を排し、抑えきれない激しい感情を冷静に確実に伝えたいとの意図の表れでもあるに違いありません。