ボンクリ・フェス2020公式|“Born Creative”Festival 2020|東京芸術劇場


PROGRAM

スペシャル・コンサートのチケットで楽しめるプログラム

大人ボンクリ

参加アーティスト選曲による“出演者なしの電子音楽コンサート”。

開催情報

2020.9.26(土)  2020.9.26 sat
19:30開演(19:00開場) start19:30/open19:00
コンサートホール Concert Hall
楽曲シークエンス:Nagie Music Sequence: Nagie

ご入場の際は、「スペシャル・コンサート」のチケットをお持ちください。
本公演は、入退場自由の公演となります。
客席内でのソーシャル・ディスタンス確保のため、お客様自身で間隔を空けてご着席いただきますようご協力をお願いします。
大人ボンクリへの未就学児のご入場はお断りいたします。
fujicome
これは去年から、「お昼に大ホールを使うスペシャルコンサートをやる、ということは、夜はホールは空っぽ?」というアイデアから、「だったら大ホールで、面白い電子音楽を好き放題流す、というのは?」という事で始まりました。このホールの音響を担うのはもちろん我がトーンマイスターの石丸さんなので、「石丸さんが良いっていうのならできるんじゃないですか?」と。早速石丸さん、Nagieさん、ヒガキさんに大人ボンクリの選曲をお頼みし、僕を含めて、4人が20分づつくらいの音楽を受け持って選曲した、という感じ。世界最高峰のホールで、電子音楽をくつろいで聞く(くつろいで聞く、はクラシックでもできないじゃないですか)、なんと贅沢なんでしょう!

Program


1. Nagie/Purple Amebas(11:11)

一つのフレーズが繰り返され、2つに分裂してアメーバーのように変化していきます。
本作品中での音の変化は新しいサウンドが足されているのではありません。 全ての変化は音そのものを切り刻んだり、ひねったり、特定の帯域を強調したり、アメーバのように無段階に変化しているのです。バイオリンからドラムピートのようになる様をご覧ください。 本作品は次のFairy Circleへのオマージュとして製作されました。(Nagie)

2. 蒲池愛/Fairy Circle for Violin.Cello,Flute,Bass Clarinet with Live Electronics(10:11)
Ai Kamachi: Fairy Circle for Violin.Cello,Flute,Bass Clarinet with Live Electronics

蒲池愛の2010年初演作品。Andy Goldsworthyのインスタレーション作品からインスパイアされました。森の中で目立つサークルを見るとそれは” Fairy Ciecle”と呼ばれます。
これは実際に地面に広がるキノコによって作られ、科学的にはキノコ胞子が自分自身に分散する現象です。投げ出され、飛んでから着陸し、輪を作る「音の胞子」を表現しています。(Nagie)

3. 細井美裕/Orb(03:14)
Miyu Hosoi: Orb

昨年リリースした私の声のみの多重録音で制作したアルバム「Orb」は、全6曲のうち5曲をそれぞれ異なる作曲家に作曲を依頼しましたが、タイトルチューン「Orb」は、唯一の自作曲です。Orbは天体という意味を持ち、止まることなく廻り続ける天体のように終始鳴り続ける1音を軸に音が分裂したり、溶けたり、ぶつかったりを繰り返し、内省的な印象を持たせるため全てをハミングで収録しました。武満徹の「さくら」の冒頭、男声がド・レ・ミでぶつかる音に衝撃を受けて以来ボイスプレイヤーとして活動するようになった今、自作曲ではその瞬間を自身で広げていきたいという思いで制作しました。音がぶつかるビリビリとした音が私にとっては大変心地よいのです。(細井美裕)

Mix: 葛西敏彦 (studio ATLIO)

4. 細井美裕・上水樽力/Lenna(07:44)
Miyu Hosoi/Chikara Uemizutaru: Lenna

アルバム「Orb」の中で最もメディアテクノロジーに挑戦した、22.2ch作品。作曲は22.2chを前提として上水樽力さんに依頼し、今回はオリジナルのエンジニアでもある蓮尾美沙希さんの6chミックスで再生します。本作品の22.2chのトラックはクリエイティブ・コモンズ・ライセンス下において数少ない立体音響サンプルとして無料配布、及び二次利用を許可しており、様々な空間にLennaが憑依することを期待しています。サウンドインスタレーションとしても複数展示をしているこの作品は、再生される空間の響きにも意識を向けることを目的としています。コンサートホールは私の活動の原点であり、またこの空間に声と共に帰って来られたことを幸せに思います。(細井美裕)

Concept / Voices / Recording: 細井美裕
Composer: 上水樽力
Mix: 葛西敏彦(studio ATLIO),蓮尾美沙希
Mastering: 風間萌(studio ATLIO)
Recording Assistant: 飯塚晃弘(studio ATLIO)
3D Audio Design: 蓮尾美沙希
3D Sound System: 久保二朗 (ACOUSTIC FIELD)

5. 山崎阿弥/狼と鯨の間(20:17)
Ami Yamasaki: BETWEEN WOLVES AND WHALES

夢があります
きっと雪の降る夜で
左の耳には狼が
右の耳には鯨の
声が届いてくるその
ちょうど真ん中に立ち、愛する人たちを招いて歌いたい
狼を鯨に渡し、鯨を狼に渡す

私は動物の声帯模写として歌う者ではありません。
異なる在り方をする者として彼らに自分の命を連ねようとするとき、
彼らの深く高く大きな声が私の野性を誘い出し、ただのいのちに変えます。
そのときには、あなたもわたしも、全てが全てに似ていると思うのです。
音は私たちを粉々にします。
音や音で無いものたちの中で漂うことを許します。
けれどその幾億の粒から、やがて異物として取り出されます。
その、優劣で言えば劣の中に私たちの最後の可能性が聞こえる気が、しています。(山崎阿弥)

6. 檜垣智也/ 囚われた女~秋山邦晴のテープレコーダーのための詩による(15:44)
Tomonari Higaki: A Woman Imprisoned – by Kuniharu Akiyama's Poetry for a Tape Recorder

前衛芸術集団・実験工房の秋山邦晴が、1953年に発表した詩と音楽のミクストメディア作品『囚われた女』(所在不明)。本作は、その詩を素材に創作した電子音響音楽である。ステレオ音声を主体とした本作は、録音再生技術を用い、電子音楽の礎を築いた先人たちのまなざしを、再確認することを目的のひとつとして制作された。(川崎弘二)

プロデュース:川崎弘二
詩:秋山邦晴
声:河合拓始、太田真紀
録音:牛山泰良
協力:高橋アキ、有馬純寿

7. アレハンドロ・ビニャオ/THE WORLD WE KNOW(13:07)
Alejandro Viñao: THE WORLD WE KNOW

ビニャオは、僕が学生時代からよく好きで聞いていたし、僕より歳はかなり上の作曲家だけど、習った先生が同じ、ということで勝手に親近感を持っていた。ノマドの佐藤紀雄さんがビニャオの作品を今年「ノマドの部屋」でやりたい、というので、是非!と思った。そこで、大昔、ビニャオとメールのやりとりしたのを思い出し(15年くらい前)、メールを出してみると、ビニャオはロンドン在住なので、二人で夜遅くまで飲んだ(もちろんコロナ禍の前)。そこでいろんな電子音楽を紹介してもらい、これがその一つ。電子音楽マスターの創る作品、それに非ヨーロッパ的な要素もあるし、ポップの要素もある。それでいて、深くて実験的作品。(藤倉大)

ページトップへ