ボンクリ・フェス2020公式|“Born Creative”Festival 2020|東京芸術劇場


PROGRAM

誰でも楽しめる!無料プログラム Free program that anyone can enjoy!

電子音楽の部屋

アク―スモニウム(電子音響音楽の演奏装置)奏者として活躍する檜垣智也がデザインした音響空間で
エリアーヌ・ラディーグ、アレハンドロ・ビニャオ、コリー・スマイス、蒲池愛らの音楽をお聴きいただけます。

開催情報

入場料無料・入退場自由 Admission free,Come and go as you please
アトリエイースト、アトリエウエスト(B1F)

2020.9.26(土) 2020.9.26 Sat.
11:00~19:00
監修:檜垣智也 Supervisor:Tomonari Higaki
fujicome
こちらは、毎年のように、ヒガキトモナリさんと話し合って(でもヒガキトモナリさん主導で)選曲をしました。電子音楽のパイオニアから、学生の作品、音楽をお仕事としていない方が作っている電子音楽作品、などが最高の音環境で流れます。毎年、この部屋は一回入ったらなかなか出てこない人たちも多く、今年も面白い楽曲が多いです。

永遠持続のドローン—エリアーヌ・ラディーグ~『電子音楽の部屋』監修ノート~

 

11時から19時までいつでも音楽が流れる電子音楽の部屋のメインコンポーザーは、1932年生まれのフランスの電子音楽家エリアーヌ・ラディーグです。彼女の音楽の特徴を一言で表すなら「ドローン」。この言葉は、ケルト音楽の楽器であるバグパイプやインドの蛇遣いが使用するプーンギーなどについている持続音を担当するドローン管に由来します。彼女はシンセサイザーを極めて繊細にコントロールすることで柔らかいドローンを紡ぎ、忘我へ誘う永遠持続を作り出します。

 

 ラディーグはパリでピエール・シェフェールとピエール・アンリのもとで電子音楽を学びますが、3人の子育てのために音楽キャリアを中断します。しかし、離婚をきっかけにアンリからの特別な誘いを受け彼のアシスタントとして復帰。そして、1970年初めにニューヨークで見つけたアナログシンセサイザーARP 2500との出会いが、専門的な作曲家として活動する決定打になります。アンリから譲りうけたテープレコーダーと共にパリの自宅に設置し、ホームメイドな創作活動を開始。近年、14枚組のCDボックスを始めとした音源のリリースが相次ぎ、サイケデリックカルチャーに影響を受けた独特なサウンドへの評価が再び高まっています。

 

 他には、スペシャルコンサートでも上演される蒲池愛作品の上演記録、藤倉さん提案のアレハンドロ・ビニャオとコリー・スマイスの新しい仕事を特集します。さらにコロナ禍で発表した作品が話題の池田拓実など、昨年に引き続き新しい世代の作品も紹介します。プログラムをチェックして、こちらも合わせてお楽しみください。

 

 

檜垣智也(電子音楽の部屋監修)

 

Program


【A】 ​11:00~/アトリエイースト  17:33~/アトリエウエスト

 エリアーヌ・ラディーグ Eliane Radigue『Chry-ptus』『Geelriandre』

  『Chry-ptus』(1971, 24分) ブックラ・モデュラー・システム
  『Geelriandre』(1972, 30分) ARP 2500シンセサイザー(プリペアド・ピアノを伴う)

【B】 ​12:59~/アトリエイースト  ​15:09~/アトリエウエスト

 エリアーヌ・ラディーグ Eliane Radigue『Biogenesis』『Arthesis』

  『Biogenesis』(1973,22分) ARP 2500シンセサイザー
  『Arthesis』(1973,26分) モーグ・モデュラー・システム

【C】 ​14:56~/アトリエイースト  ​12:32~/アトリエウエスト

 エリアーヌ・ラディーグ Eliane Radigue『Les Chants De Milarepa』より
 「1.Mila's Song In The Rain」「2.Elimination Of Desires」

  『Les Chants De Milarepa 』より「1. Mila's Song In The Rain」 (1983,20分)
  ARP 2500シンセサイザー、ロバート・アシュレイ& ラマ・クンガ・リンポチェ(声)
  『Les Chants De Milarepa』より「Elimination Of Desires」(1983,18分)
  ARP 2500シンセサイザー、ロバート・アシュレイ& ラマ・クンガ・リンポチェ(声)

【D】 ​16:05~/アトリエイースト  ​13:40~/アトリエウエスト

 エリアーヌ・ラディーグ Eliane Radigue『Trilogie de la Mort』より「2.Kailasha」

  『Trilogie de la Mort』より「2.Kailasha」 (1991,57分) ARP 2500シンセサイザー

【E】 ​18:05~/アトリエイースト  ​11:00~/アトリエウエスト

 エリアーヌ・ラディーグ Eliane Radigue『L'Île re-sonate』

  『L'Île re-sonate』(2005,56分) ARP 2500シンセサイザーとサージュ・モデュラー・システム

【F】 ​12:27~/アトリエイースト  ​16:29~/アトリエウエスト

 蒲池愛特集 Ai Kamachi

  『Paradox for Violin Solo and Electronics Live』(2012, 11分)
  『dent-de-lion for Accordion and Electronics live』(2017, 10分)
  『21st Red Line』(2011,11分) 新マスタリング

ボンクリファミリーを支えてくれた作曲家・蒲池愛さんのミクスト作品(楽器と電子音楽の混合)の記録映像特集。『21st Red Line』は、コンピュータ・ミュージック国際会議International Computer Music Conferenceから特別提供されたライブ映像を、長年彼女と活動を共にされ音楽性を熟知しているnagie氏による新マスタリングでお届けます。


【G】 ​17:02~/アトリエイースト  ​14:37~/アトリエウエスト

 コリー・スマイス特集 Cory Smythe

  『Kinetic Whirlwind Sculpture 1』(2020, 4分)
  『Kinetic Whirlwind Sculpture 2』(2020, 5分)
  『Weatherproof Song』(2020,4分)
  『Piano And Ocean Waves For Deep Relaxation』(2020, 19分)

藤倉大さんよりご提案のコリー・スマイスさんの新アルバム「Accelerate Every Voice」より選曲。個性豊かなボーカルアンサンブルに絡む作曲者本人による微分ピアノがポップに美しい。


【H】 ​13:46~/アトリエイースト  ​11:55~/アトリエウエスト

 アレハンドロ・ビニャオ特集 Alejandro Viñao

  『Hendrix Haze』 (1983, 23分) stereo version
  『The World We Know』(2003, 13分)stereo version

こちらも藤倉大さんからの提案による選曲。大人ボンクリでも『The World We Know』が上演されますので、大ホールと小さなこの電子音楽の部屋との聴き比べも楽しみ。


【I】 ​11:54~/アトリエイースト  ​15:56~/アトリエウエスト

 新しい世代1:池田拓実、牛山泰良、マ・ユンジュ、天野 知亜紀作品
 Takumi Ikeda, Taira Ushiyama, Yunju MA, Chiaki Amano

  池田拓実『drop E』(2018, 9分)
  牛山泰良『かしがまし』(2020, 10分)世界初演
  マ・ユンジュ『画く』(2020, 5分)世界初演
  天野知亜紀『Infinity』(2020, 7分)世界初演

ボンクリのために国内外で活躍する電子音楽作曲家たちから直接提供された作品で構成。池田拓実さんの『drop E』は、コロナ禍に発表された話題になった同名のCDより今回のために特別に許可を得ての上演です。


【J】 ​14:23~/アトリエイースト  ​18:27~/アトリエウエスト

 新しい世代2:渡辺 愛、ポール・ラマジュ、リヴィア・ジョバニネッティ作品
 Ai Watanabe, Paul Ramage, Livia Giovaninetti

  渡辺 愛『熱帯紀行 tropical travelogue』(2017, 9分)
  ポール・ラマジュ『Le Temps que le brouillard se dissipe』(2020,10分)
  リヴィア・ジョバニネッティ『J(d)O2(a) 』(2015, 13分)

ボンクリのために国内外で活躍する電子音楽作曲家たちから直接提供された作品で構成。渡辺愛さん提供の『熱帯紀行 tropical travelogue』は、坂本龍一さんのラジオ番組「Radio Sakamoto」にもセレクトされた美曲です。


【K】 ​15:33~アトリエイースト  ​17:01~/アトリエウエスト

 新しい世代3:田代啓希、永松ゆか、大塚勇樹、ソフィー・ドラフォンテーヌ作品
 Hitoki Tashiro, Yuka Nagamatsu, Yuki Otsuka, Sophie Delafontaine

  田代啓希『静かの海 Sea of Tranquility』(2020, 6分)世界初演
  永松ゆか『Needlework』(2020, 4分)世界初演
  大塚勇樹『Antrum』(2020, 6分)世界初演
  ソフィー・ドラフォンテーヌ『Dormir, aujourd'hui』(2018,14分)

ボンクリのために国内外で活躍する作曲家たちから直接提供された作品で構成。大塚勇樹さん『Antrum』は、エリアーヌ・ラディーグと共通するドローン的なシンセサウンドを盛り込んだもので、今現在の空気感の作品です。


【L】 ​17:34~/アトリエイースト  ​13:09~/アトリエウエスト

 新しい世代4:新美 術、岡田智則、山下裕美、佐藤 亜矢子作品
 Toru Nimi, Tomonori Okada, Yumi Yamashita, Ayako Sato

  新美 術『ある夏の日』(2020, 8分)世界初演
  岡田智則『陰陽』(2020, 8分)改定初演
  山下裕美『animation I』(2016, 8分)
  佐藤 亜矢子『Le Cauchemar Agréable』(2018, 5分)

ボンクリのために国内外で活躍する電子音楽作曲家たちから直接提供された作品で構成。出品された新美術さんは、音楽とは別にプロフェッショナルな職業を持ちながら作曲活動をしています。音楽は決して専門家だけでのものではありません。音楽祭の名前になっている「ボーン・クリエーティブ」とは「人間は皆、生まれつきクリエイティブだ」というメッセージが込められたものです。ここ「電子音楽の部屋」では、人種・世代・立場・専門性を超えて、人間が生まれつきもっている創造性の多様さを体現しています。


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