ボンクリ・フェス2019公式|“Born Creative”Festival 2019|東京芸術劇場

PROGRAM

誰でも楽しめる! 無料プログラム

電子音楽の部屋

アクースモニウム(電子音響音楽の演奏装置)奏者として活躍する檜垣智也が監修し、デヴィッド・トゥープ、ランガム・リサーチ・センター、ベランジェル・マキシマン、武満徹らの音楽をお聴きいただけます。

開催情報

入場料無料・入退場自由 Admission free,Come and go as you please

2019.9.28(土) Sat. 28th September 2019
11:00~19:00
アトリエイースト、アトリエウエスト(B1F) Atelier East/ Atelier West
監修:檜垣智也 Supervision:Tomonari HigakIi

プログラム

【A】​デヴィッド・トープ David Toop
11:00~
イースト
 
14:10~
ウエスト

【B】​ベランジェル・マキシマン BérangèreMaximin
11:20~、15:40~
イースト

【C】​午睡の音楽 Music for afternoon sleep
12:40~
イースト

【D】​武満 徹 Toru Takemitsu
13:40~、17:00~
イースト 

【E】​日本のアクースマティック音楽 Japanese acousmatic music
14:20~、17:40
イースト

【F】​デヴィッド・シルヴィアンI David Sylvian I
12:10~
ウエスト

【G】​デヴィッド・シルヴィアン II David Sylvian II
14:30~、17:45
ウエスト

【H】​ランガム・リサーチ・センター Langham Research Center
11:00~、16:35~
ウエスト

【I】​ロバート・ウォービー Robert Worby
13:15~、15:40~
ウエスト

監修ノート

『電子音楽の部屋』では、子どもから大人からまで「だれでも」、11時から19時まで「いつでも」、電子音楽との「上質」な出会いを提供します。

 

「だれでも」というのは子どもも大人もということはもちろん、初心者も上級者もという意味もあります。電子音楽を上級者だけのものにしていてはもったいない。電子音楽はドレミのメロディやリズムの要素が少なめで、変な音がたくさん。まさに「音」そのものを楽しむ音楽です。子どは変な音を──ときには大人の嫌がる音を──出しては遊んでいます。そんな子どもをみていると、じつは大人より子どものほうがむしろ素直に音と上手くやれているような気さえします。もちろん大人は大人ならではの聴き方──趣向的・知的・教養的なアプローチ──もできます。

 

また、この部屋は「いつでも」聞けるように入退場が自由です。他のワークショップの隙間にちょっとのぞくもあり、時を忘れて瞑想しながら聞くもありです。お客さんが少ないときは、寝転んで、うたた寝しながら聴いても面白いです。他人の聴いている姿を眺めながら聴くというのもできそうです。どんな聴き方も自由です。好きな聴き方を見つけて、楽しんでください。

 

気を配っていることは他にもあります。体験の「上質」さです。様々なスタイルのある電子音楽ですが、共通することはスピーカーを通してきくことです。もちろんパソコンや携帯型音楽プレーヤ、自宅のオーディオシステムでプライベートで簡単にきくことができます。しかしたいていの電子音楽の作曲家は、作品の音質にもこだわっています。制作した同じ環境で聴くことは難しいですが──原理的には作曲家のスタジオで聴くしかないわけで──、可能な限り高音質な装置を使って適切な音量で体験することが大切なのです。そこでボンクリでは音楽スタジオで使用されている高音質・高出力のスピーカで音源を再生します。耳で聞くだけでなく、体全体で空気の震えを感じ、皮膚で気配を掴んでください。いつもイヤホンで音楽を聴いている人は、その違いに驚くでしょう。

 

最後に、電子音楽をうまく聴くコツを伝授しましょう。とくに入門したて、または、これから電子音楽に挑戦しようという方は参考にしてください。それはあなた自身が音になって、音楽という言葉のないストーリーにダイブすることです。やり方は簡単です。まず目を閉じて、落ち着いて静かにしてください。そしてスピーカーから聴こえてくる音の位置や動きを心の目で追ってみてください。次第に空間を縦横無尽に飛び交う音の迫力にびっくりするはずです。そうすればしめたものです。もうしばらくすると音が体の中に入ってきて、あなたが音そのものになるような感覚がおとずれてきます。映画の主人公に感情移入する、あの感じです。あとは音楽の世界を自由に楽しむだけです。

 

せっかくボンクリにいらっしゃったなら、ぜひ電子音楽の部屋にお立ち寄りください。長いプログラムのお目当てをめがけてきても、空いた時間にふらりときていただいてもかまいません。この部屋には「上質」な“新しい音”が「いつでも」溢れていて、「だれでも」入ることができます。

 

檜垣智也

 

檜垣智也による各プログラムの解説および上演曲目


【プログラム A】デヴィッド・トープ

デヴィッド・トープはイギリスの電子音楽アーティスト、批評家。藤倉さんと交友があります。今回はまだリリースされていない最新アルバム『Slow Moving Creatures』から6曲が届きました。もちろん本邦初公開。届いたフォルダの名前に”Six (provisional) pieces”とあるので、アルバムがリリースされたときには、少し内容が変わっているかもしれません。どの作品もコンパクトでとても聞きやすいく要チェックです。彼は著述も多く、日本語で読めるものでは「フラッター・エコー 音の中に生きる」(DU BOOKS)などあります。

1. You could touch him but he wasn’t there(2019、世界初演)
2. Some of them (to isolate themselves even further, beat their own ears until the tiny bones within were crushed)(2019、世界初演)
3. For believing (you were a strange beautiful unearthly creature from a faraway planet) (2019、世界初演)
4. She fell asleep somewhere outside the world(2019、世界初演)
5. Possibly it was only the coming of certain indefinable hours when she felt warm and expansive (when her sensations…)(2019、世界初演)
6. Small soft beings in a flickering state(2019、世界初演)

【プログラム B】ベランジェル・マキシマン

ベランジェル・マキシマンはパリの電子音楽アーティスト。僕と師匠が同じでミュージック・コンクレートの伝統を引き継ぎながら、繊細で個性的な音楽を作ります。あのジョン・ゾーンのCDレーベルからもリリースされ、世界中で注目されている一人です。ボンクリのために新作「Reality Hackers」を作ってくれましたので、大人ボンクリでもかけます。

1. Tant que les heures passent (2006)
2. La Mécanique des ombres (2006)
3. Where the Skin Meets the Bone (Featuring Rhys Chatham, trompette et pédales d’effet) (2012)
4. Elpis (2016-2017)
5. Wax Melody (2016-2017)
6. Infinitesimal: Mvt II, Der Stern (2013)
7. Reality Hackers (2019、世界初演)

【プログラム C】午睡の音楽

ゆったりと静かな電子音楽を集めました。お昼寝するつもりで、どうぞいらっしゃってください。武満徹の珍しい環境音楽、藤倉さんの珍しい電子音のみの小品、最近活躍中の佐藤亜矢子さんの力作に、僕の作品を加えてプログラムしました。

1. 武満 徹「静かなデザイン」(1960)
2. 檜垣智也「レントより遅く、ピアノより弱く〜小さな音楽 第1番」(2014)
3. 藤倉 大「I dreamed on singing flowers」(2014)
4. 佐藤亜矢子「sleeping on my red sofa」(2017)

【プログラム D】武満徹

武満徹さんの珍しい電子音楽を集めました。その多くが若い頃に集中して作られたもので、短い作品ばかりなのです。しかし音のはじまりからおわりまで、そして無音すらも丁寧に味わう武満さんの感性がすでに現れているように思います。最初の取り組みこそ多彩な音色を駆使していますが、次第に限られた音色だけによるシンプルなものになっていきます。そんな作風の変遷も今回のプログラムの聞きどころです。

1. ルリエフ・スタティク (1955)
2. ヴォーカリズム A・I(1956、谷川俊太郎との共作)
3. 木・空・鳥(1956、谷川俊太郎との共作)
4. クラップ・ヴォーカリズム(1956、谷川俊太郎との共作)
5. ユリディスの死(1956)
6. 空、馬、そして死(1957)
7. 水の曲(1960)

【プログラム E】日本のアクースマティック音楽

近年日本で目立ってきた電子音楽の新しい潮流として「アクースマティック音楽」の新進気鋭の9名の作曲家を紹介します。ミュジーク・コンクレートの現在形ともいえるジャンルで、本来はアクースモニウムというこの音楽専用の上演装置で演奏するのですが、ここではシンプルに音源の再生のみでお聞きいただきます。

1. 李 英姿「記憶・印象」(2014)
2. 大塚勇樹「Blackbird」(2019、世界初演)
3. 永松ゆか「a to b」(2019、世界初演)
4. 林恭平「Star Celebration」(2015)
5. ヤマシタユミ「ハッド・ア・ナイス・トリップ」(2018)
6. 牛山泰良「xxxxx刹那」(2019、世界初演)
7. 渡辺 愛「LMD」(2019)
8. 新美 術「百鬼夜行絵巻 巻壱」(2019、世界初演)
9. 田代啓希「Sai no Niwa」(2019、世界初演)

【プログラム FとG】デヴィッド・シルヴィアン IとII

ちょっとした裏話を。今回の電子音楽の部屋にロックスターのデヴィッド・シルヴィアンさんのヴォーカルなしの電子音楽的な作品を入れるアイディアは藤倉さんのものでした。藤倉さんは彼と共同でアルバムを作っていらっしゃって、コンタクトがあります。シルヴィアンさん本人から提供された音源は、ハイレゾ版、5.1chサラウンド、さらにこのためにわざわざ編集された長編の音源など、どれも未公開のものばかりでした。私たちにとって、とても嬉しいハプニングでした。そこでシルヴィアンさんのために新しい部屋「デヴィッド・シルヴィアンの部屋」を作ることになったのですが、この電子音楽の部屋でも2つのプログラムを作りました。

プログラム F(デヴィッド・シルヴィアン I )
1. Mutability (A New Beginning Is In The Offing)(1989)
2. Trauma(2019)
3. Preparations For A Journey (1985)
4. A Brief Conversation Ending In Divorce(1985)
5. The Stigma Of Childhood(1985)
6. Steel Cathedrals(1985)

プログラム G(デヴィッド・シルヴィアン II )
1.When Loud Weather Buffeted Naoshima(2007)

【プログラム HとI】ランガム・リサーチ・センターとロバート・ウォービー

ランガム・リサーチ・センターは、2003年に結成されたイギリスの国営放送局BBCのサウンド・エンジニアたちによるグループです。彼らから2017年にリリースされた『Tape Works Vol. 1』といくつかの作品が届きました。また同グループのひとり、ロバート・ウォービーさんから同じく2017年にリリースされたソロ作品集『Factitious Airs』が届きました。オープンリールレコーダーやアナログの電子機器を駆使したパフォーマンスが有名で、2018年には来日公演もしました。シリアスなフランスやドイツの電子音楽とは異にする、イギリスらしい明るい作風が印象的です。エンジニアでありながらクリエーションもする、彼らの多彩な才能をお楽しみください。

プログラム H(ランガム・リサーチ・センター)
1. Perpetual Motion (2017)
2. Nudge (2017)
3. Money (2017)
4. Doors (2017)
5. LOL (2017)
6. The Undersized Shadow (2017)
7. Sink Speeds (2017)
8. Roadside Picnic (2017)
9. Executive Balls (2017)
10. Quasar Melodics/The Voices of Time (2017)
11. The Terminal Beach (2017)
12. Homage to Pierre Henry (2017)
13. Terminal Voltage Traces (2018)
14. Nachholbedürfnis (2019)

プログラム I(ロバート・ウォービー)
1. Stumble Bum Junk Heap(1994-2017)
2. Cody’s Receiver(1994-2017)
3. To Come Speedy Upon Them(1994-2017)
4. The Blind Momentum of Catastrophe(1994-2017)
5. TekTone1(1994-2017)
6. Drawing the Nerves(1994-2017)
7. Electronic Sound from Belarus(1994-2017)
8. Factitious Airs (Parts 1 & 2)(1994-2017)
9. Night, Without Edges or Face(1994-2017)
10. Sea-Worn Gravity(1994-2017)
東京芸術劇場
東京都豊島区西池袋1丁目8-1
JR・東京メトロ・東武東上線・西武池袋線 池袋駅西口より徒歩2分。
駅地下通路2b出口と直結しています。
 文化庁委託事業「2019年度戦略的芸術文化創造推進事業」主催:文化庁、公益財団法人東京都歴史文化財団企画制作:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)助成:公益財団法人ロームミュージックファンデーション 機材協力:ボーズ合同会社 協力:サントリーホールディングス株式会社
ページトップへ